Ultra Recordsブランド(made in EU)で発売のインド映画(タミル映画)のDVDで、日本語字幕部分でなんどりが協力した作品のご紹介(2020年11月現在:5作品+α)と、協力当時のよもやま話です。

当店でご購入いただいた場合は、おまけで「インド映画のしおり」(自家製ライナーノーツ)をつけています。店頭でご購入の方には生写真のおまけがつく場合もあります。

Ultra Recordsレーベルの日本語字幕付DVD

ヨーロッパを本拠地とする法人が2017年頃から発売しているタミル語映画DVDです。
ストリーミング動画配信の発達や、海賊盤ソフトの横行により、現在インドや東南アジアでは新しいタミル映画のDVDは発売されなくなりました。そんな他のDVD業者の廃業が続く状況の中、奮闘しているのがUltra Recordsです。
Ultra Recordsも決して売上を上げられている訳ではなく、日本のファンが数十枚でも購入してくれれば助かるかも、と業者が日本のファンを意識しだした経緯があり、日本語字幕を2018年12月発売の【Kaala】からつけはじめました。

(※これ以前に、海外盤のタミル映画DVDで日本語字幕がついたことがあるのは、自分の知る限りでは、シンガポールのPYRAMID社ブランドで2000年代はじめに発売された【Rhythm】と【Annamalai】の2作品のみです。これらが売れればその後も日本語がつくかも、という話でしたが、残念ながら続かなかった経緯があります。)

複雑な権利処理などを乗り越えて、日本でリリースされるタミル映画はまだごく一部です。

世界中の映画が権利期間切れなど関係なく、すべての作品が世界中で自由にストリーミング再生で視聴可能になるならば、DVD等は無くてもいいかもしれません。ですが現時点ではまだまだDVDに存在意義があると考えています。
そのため、現在世界でほぼ唯一のタミル映画DVDリリースを続けているウルトラ・レコードを応援しています。
特に、ラジニカーントやヴィジャイ、アジットクマールといったタミル映画の現在の王道のスターものを安定して出してほしいのはもちろんですが、それが売れることでややマイナーなタイトルも各種リリースすることが可能になっています。

そういった広がりを含めて応援していますし、日本でも購入があることで、世界中の円盤購入希望者にも新しいDVDを届けることが可能になることに意義があるというスタンスで、当店でできる協力は行いたいと考えております。

ぜひ、皆さまにおかれましても、Ultra Recordsの新作DVDを応援してくださいますよう、よろしくお願いいたします!

(日本盤は日本盤で、もちろんリリースを応援しています!)

※当店で発売開始した時期です。
()内は、日本での映画祭上映時の邦題
当店の字幕は、映画祭上映時の日本語字幕とは別の翻訳です。

Kaala (カーラ 黒い砦の闘い)

2018年12月発売

黒い肌は罪なのか。ムンバイのダラヴィ・スラムで叫ばれるジャイ・ビーム!

2018年6月、インド公開。日本では同年6月に、在日インド人会による自主上映あり。2019年9月にインディアン・ムービー・ウィークにて【カーラ 黒い砦の闘い】という邦題で上映。

ラジニカーントが恐らくはダリットを出自とする仏教徒役。この映画の頃から、タミルの大スター映画で身分差別に切り込むものが増えてきた印象。ラーマーヤナのラーヴァナにカーラを例える場面もあり、いろいろと大胆な映画で必見です。

この映画に、試しに日本語字幕をつけるのを手伝ってくれないか?という話があったのが2018年の夏。本当についたら、タミル映画の海外盤に日本語がつくのは15年以上ぶりです。
ほんの数か月前に劇場公開されたばかりの映画で、初めて自主上映で観た際には難解すぎて、日本語字幕をつけないと日本人は見てくれないかもな、と思っていたので、これはチャンス!と精魂込めまくって訳しました。
といっても、DVDが発売された後に、ラジニが仏教徒の設定である、とか、ラーマーヤナで悪役のラーヴァナを、カーラではラーヴァナを善として解釈しているとか、気が付きました。というか、発売されたおかげで、そういう知見のある方たちが見てくれてご教示いただいたのです。

歌詞の訳もラップ調で難しかったですが、何か自分としては神掛りに日本語がハマって、日本語でフレーズを歌えるんじゃ?と思える部分が何か所かありました。

できた日本語字幕のフォントが、劇シブだったんですけど、どんな経緯であのフォントになったのかしら。でもカーラという映画には合っているのかも、という気もします。(メルサルの時は、別の丸ゴシック系のフォントにしてほしいとリクエストしました。)

Kaala DVD発売ページ

Mersal (マジック)

2019年3月発売

「イライヤダラパティ」から「タラパティ」に冠名を変更した記念の、盛大なヴィジャイ祭り映画。重い社会派メッセージを織り込みながらも、何から何までザ・ヴィジャイ映画。

2017年10月、インド公開。日本では同年10月に、在日インド人会による自主上映あり。2018年9月にインディアン・シネマ・ウィークにて【マジック】という邦題で上映。

【Kaala】DVDがまだ発売される前に依頼がありました。嬉しかった一方で、まだKaalaの日本での実績も出ていないので、果たして本当にMersalにも日本語字幕をつけて、発売までしてくれるのか心配でした。
字幕素材をもらったものの、そこから納期が2週間でした。遅れるとDVDリリース自体が流れるかもしれない、という話でした。
しかも残念なことに、英語台詞と歌詞部分に字幕がついていない状態の字幕素材でした。

とにかくリリースされないことには始まらないので、歌詞などは思い切って追加訳をつけず(訳の他にスポッティングという作業も加わるので手をつけられませんでした…)、2週間でやれるだけのことをやりました。でも、どうしてもこだわりたいところはこだわりまくって訳をつけました。訳をつけられなかった、「アーラポーラーン・タミラン」の曲の背景については、おまけの「インド映画のしおり」にぶちまけました。
いつか機会があれば全訳をつけたいなあ、とも思ってますが…
日本盤がリリースされればいいですよね? と期待しております。

とはいえ、提出したのに結局リリースが数か月ペンディングになったのでした;;;
リリースされてホッとしました。

DVDジャケットの表裏で、いったい何人ヴィジャイが登場するんだか。ぜひ数えてみてください!
アトリ監督と同様、DVDジャケットデザイン担当さんもどれだけヴィジャイが好きなんだか(笑)
業者さんに日本語でのMersalの綴りを尋ねられ、「メルサル」とメール返信したところ、DVDの背表紙に日本語が入りました。インド映画の輸入盤ジャケットに日本語文字が入るなんて、前代未聞じゃないでしょうか!?(一方で、日本での売上が期待されていることが感じられ、売れなかったらどうしよう、と緊張しました;)

おかげさまで発売された週の週末には、たくさんの方が店に買いに来てくれて、発売記念トークイベントも超満員、涙なみだでした。日本のみなさま、ありがとうございました!
メルサルがたくさん売れたので、その後日本の購買層に信用度が増したのか、時間に余裕のあるオファーがもらえるようになった気がします。また、ウチで訳す手伝いができなくても、機械翻訳であれ日本語字幕がつく作品が続くようになってきました。

Mersal DVD発売ページ

Sarkar (サルカール 1票の革命)

2020年3月発売

投票しなければ死ぬも同然。自分の1票をあきらめるな。「これが我らの政治ってもんだ(イドゥ・ダーン・ナンマ・サルカール)」

2018年10月、インド公開。日本では同年10月に、在日インド人会による自主上映あり。2019年9月にインディアン・ムービー・ウィークにて【サルカール 1票の革命】という邦題で上映。

Mersalでついていなかった「歌詞字幕」が、Sarkarにはついてました。が、英語台詞部分にはやっぱり字幕がついていなかった;;;
なるべく英語台詞部分もヒアリングで抽出することを心掛けましたが、スポッティングとSRTファイルへの反映に手間がかかりました。
ヴィジャイにとても躍動感があるので、歌詞の訳も躍動感がある日本語にすることを目標に取り組みました。

Sarkar DVD発売ページ

Sarvam Thaala Mayam (世界はリズムで満ちている)

2020年3月発売

クレイジーなヴィジャイファンの青年が出会った太鼓・ムリダンガム。本来ならばお門違いの演奏の道にのめりこんだ彼は、ヴィジャイへの一途な愛のように、そのピュアな気持ちで様々な壁を乗り越えていけるのか。

2018年10月、東京国際映画祭でワールドプレミア。2019年1月インド公開。実際にヴィジャイ映画の作曲やボーカルもこなす、多才なG.V.プラカーシュクマール主演。音楽は彼の叔父、A.R.ラフマーン。
ダリット(不可触民)を出自とする青年が、ほぼバラモン階層にしか門戸が開かれていない、インド古典音楽への道に突き進む話。
身分差別、南インド古典音楽のこと、古典芸能と大衆芸能との軋轢、男尊女卑、インドのスターのファンクラブ活動など、さまざまな面から語り出したら止まらない、観た後が爽快なラージーヴ・メーナン監督の傑作。

インド古典音楽に明るい日本人の方々に関わっていただいて、もっとニュアンスの分かる日本語字幕にしたいなあということもあり、小尾淳さんにお願いして、共同で日本語字幕を作成しました。
ヴィジャイファンの私が見ていても、心ニクイ小ネタが随所に現れ、何度観ても素晴らしいです。
2020年10月には、監督がインドからZOOM出演で、この映画についてのトークイベントも開催されました。

Sarvam Thaala Mayam DVD発売ページ

Bigil (ビギル 勝利のホイッスル)

2020年8月発売

出自や性別は、夢を追うのに関係はない。誰でも夢を追える世界を目指せ。

2019年10月インド公開の、ヴィジャイ、ナヤンターラー主演作。ヤクザな父を持つ出自の影響で、才能を持ちながらサッカーのインドナショナルチームでのプレーの夢を道半ばで絶たれたビギル。7年の月日が流れ、女子サッカーチームのコーチを突然引き受けることになるが。

日本では2019年10月に、在日インド人会による自主上映あり。2020年9月にインディアン・ムービー・ウィークにて【ビギル 勝利のホイッスル】という邦題で上映。(現在、インディアン・ムービー・オンラインで配信中)

業者提供の字幕に、英語台詞部分、歌詞部分にもしっかり字幕が入っておりましたので、手作業で字幕挿入する手間が省けた分、日本語訳に集中できたと思います。 全編でよく出てくる「Verithanam(ヴェリタナム)」にどう訳を当てるかなど、悩んだり勉強になりました!

BIGIL DVD発売ページ

ご注意

※当店では、「日本語補助字幕」ととらえています。
日本語が分からない海外の業者が、サービスで追加している字幕になります。
日本国内で製造販売されるDVDに追加される字幕の質には及ばないことはご了承ください。

発売前に当方では試聴確認ができないため、字幕の表示に不具合が多少あることがございます。
業者が用意した英語字幕から機械翻訳された日本語字幕(SRTファイル)を調整しています。元の字幕に「英語の台詞」「歌詞」が入っていない作品もあります。納品期間に余裕がある場合は、なるべく元にない字幕部分も追加するよう心がけていますが、納品期限が短くフォローしきれなかった作品もあります。

※ボランティアで協力しています。字幕よかったよ!といったご感想をいただくのは大変励みになります。

「ご了承ください」の事項が多々あり、恐縮ですが、日本語字幕自体は、タミル映画の20年以上のファンとして蓄積されてきた知見を、(主演俳優の旧作や他の映画の引用に関する知識やローカルな情報、タミル映画頻出の単語などなど)できる限り詰め込んで、心を込めて日本語に調整しています。

通信講座で映像字幕翻訳講座もかつて受講していましたので、日本での字幕翻訳ルールになるべく沿った形で翻訳しています。ただし、海外盤DVDの輸入盤ということで、日本劇場公開用の字幕ではありません。地名・人名・映画名等、劇場公開用字幕では(日本でメジャーな単語である場合を除き)具体的な訳にされないことが多い部分は、輸入盤DVDを手にする方が比較的インド映画にマニアックな方が多いと想定し、敢えて元の台詞に忠実に日本語字幕にしたりしています。(例えば、「カマルハーサン」を劇場用字幕では「スター」と言い換えたりします。)

ぜひ、お楽しみいただいて、感想を聞かせてください♪
いつも、ありがとうございます。なんどり!